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管理栄養士の活動

デザートバイキングの開催に向けて
 当院は、精神科病棟(治療抵抗性統合失調症、アルコール・薬物依存症医療、児童・思春期精神医療、認知症医療、司法精神医療)326床、重症心身障がい児(者)医療(強度行動障害)病棟90床の精神科診療を中心におこなっている病院です。
 精神科の栄養管理の特徴のひとつに、早食いや詰込みによる窒息リスク、精神病薬の副作用による嚥下機能低下があり、当院でも、食事の形態や柔らかさ、飲み込みやすさを十分に配慮した食事の提供を行っております。そのため、刻むと美味しくない料理や飲み込みにくい食材は提供しません。今回、患者さんが食べたいものを提供したい!との思いから、希望の多いメニューを調理方法の工夫により提供でき、大変喜んでいただけたためご紹介いたします。
 通常、噛む力、飲み込む力が落ちた方に提供するきざみ食では、麺類の提供を行っておりませんが、沖縄そばが食べたいとのご意見を多数いただきました。美味しく安全に提供するため試行錯誤を重ね、麺を一度ミキサーにかけたソフト食の沖縄そば(写真1)が完成しました。ポイントは、麺と凝固剤をミキサーにかけ、氷水の中に絞り出すことで、“そば”のように見えること(写真2.3)。味も見た目も美味しい沖縄そばを提供することができ、普段喫食量が少ない患者さんも全量摂取されるなど、みなさんに満足していただきました。
 嗜好調査で食べたいメニューの上位にピザがよくあがります。パンのような市販のピザ生地は、口の中でぱさつき飲み込みにくいため、生地から手作りしました。硬くなく、ふわっとしない絶妙な生地の厚さになるように何度も試作、具材もピザソースとトマト缶を混ぜることで適度な水分を含ませるなど、調整を重ねました。そうして、噛み切りやすく、飲み込みやすいピザ(写真4.5)を完成させることができ、「ここまでサービスできるのはすごい!」「お昼ご飯でとても幸せな思いになりまた。」と好評でした。
 当院は、基本理念「この病院で最も大切なひとは医療を受ける人である」のもと、食事の際に見守りを行う看護師を含め、病院全体で“患者さんが食べたい食事の提供”について理解と協力体制が整っています。今後も、多職種で安心、安全で、美味しい、楽しい食事の提供ができるよう日々努めてまいります。