管理栄養士の活動
小諸高原病院は、精神科病棟225床、重症心身障害児者病棟80床の精神科診療を中心とした療養型の病院です。長野県東部にある小諸市に位置し、北東方に浅間山を望む標高約1,000mの高原に建っています。自然豊かで、四季の移り変わりが美しく、心の病気や発達の障害を持つ患者さんには最適な療養環境となっています。
一方で、当院の給食経営を取り巻く環境は厳しく、昨今の物価高騰と労働人口減少の影響を受け、コスト管理と労働力確保が大きな課題となっております。そのために、安価な食材への変更や、複雑な調理工程を要する献立の変更を余儀なくされるなど、給食サービスの質が大きく低下していることは否めません。そこで、給食サービスの質向上の方策として、以前に開催していたバイキングの再開を発案いたしました。
栄養管理室では2008年からバイキングを企画・開催し、入院患者さんより大変好評を得ておりましたが、2017年に管理体制の不備から窒息事故が発生し、以後バイキングの開催が中止となった経緯があります。
バイキングを再開するためには、食事形態について安全な運用が必須となり、また、限られた予算と人員で実施しなくてはなりません。安全性の確保については、食事形態の調整が容易なデザートに限定した「デザートバイキング」にすることにしました。また、メニュー考案のために、企業主催の食品展示会へも参加し、多種多様な食品の中から安全に喫食できる食品を選定しました。予算については、年度当初から経費削減について取り組んできた効果もあって、食材料費に多少の余裕が生じておりました。そこから経営に不利益が出ない金額を算出して、予算を設定いたしました。人員については、調理業務を委託している(株)武仁のご協力を賜り、当日の作業人員を確保していただくことになりました。
精神疾患の患者さんは、入院期間が長期に亘る傾向があります。また、入退院を頻回に繰り返す患者さんも見受けられます。長期の療養生活の中で、食事の時間が心のよりどころとなり、患者さんの治療意欲の向上につながれば幸いです。デザートバイキングは10月から毎月開催する予定です。バイキングを通して患者さんの笑顔が増えるよう、準備を進めてまいります。