管理栄養士の活動
あわら病院では院長(見附先生)を主体に病院食のアップグレードに取り組んでいます。
コロナ禍以前は幹部会で月一回検食を大会議室で行い、「分量」「安全性」「盛り付け」のような一般的な検食の評価に加えて、「味」「調理方法」について意見を交わして病院食に反映できるようにしていました。しかし、コロナ禍で個別に検食を行うようになり、検食簿には「特記なし」「おいしかった」などのコメントが続き、従来の目的からずれて形骸化していました。そこで若手医師(福井大学からの初期研修医[平均年齢20代後半])や非医師職員(生活習慣病合併者も含む)を含め、多様なバックグラウンドを持つ人々の意見を集めるようになりました。検食をお願いするにあたり、「特記なし」「おいしかった」などの意見は中止し、
・(意見)出汁がきいていておいしかった⇒(管理栄養士)出汁の味が受け入れられるんだ
・(意見)もう少し塩味が欲しい⇒(管理栄養士)他の献立から塩分を移動できないか
といった具体的な意見から献立に反映させられるよう内容を明確にしました。
実際には
・もう少し酸味が強い方がいい ⇒ 患者がムセない程度の酸味まで少しずつ増やす
・カレー、エビチリはもっと辛い方が ⇒ 重心の子どもでも食べられるぎりぎりまで
・野菜の水分が出て味が薄い ⇒ 水切りが上手にできないから水切りボウルの購入
・胡瓜の色が悪くなっている ⇒ 習慣で胡瓜を茹でている
というような「意見⇒改善策」を考えました。
私たち管理栄養士が直面するのは、検食の意見をくみ取り、それを調理スタッフにどのように伝え、具体的な改善に繋げるかです。具体例として、「塩分が多い」という意見があった場合、どの具体的な部分に対する意見なのか、それを解決するためにどのような対応が必要なのかを明確にしなければなりません。それには、対応可能な意見をいただくこと、調理スタッフとの密なコミュニケーションと、互いの理解を深めるための時間が必要です。
安全や衛生の確認のためだけに検食簿を利用するのではなく、患者様が健康を取り戻す一助となる食事を提供するために、病院・調理スタッフと共に献立作りや調理方法の改善について日々話し合える文化ができることに利用できるのではないでしょうか。
「現在の患者様」から「10年後の患者様」「20年後の患者様(もしかしたら自分かもしれない)」にむけて貴重な意見を活かし、更なる病院食の向上を目指し続けます。
図1検食簿
図2病院食up grade