管理栄養士の活動
大島青松園は橋の架かっていない離島にあるハンセン病療養所であり、官有船での通勤となります。園内は自然豊かで四季折々の景色が楽しめます。当園の入所者の平均年齢は86歳(令和6年1月)と高齢化しています。ハンセン病は治癒していますが後遺症などの障害や社会の偏見や差別が残っているなどの理由から、平均在所年数は60年で殆どが終生を当園で療養生活を送る状況にあり、生活に密着したサービスが求められています。
地理的な制約もあり、日頃外出して外食する機会の少ない入所者に対して多数のイベントや食事サービスを実施していましたが、2020年より新型コロナが流行し始め、感染対策の一環としてイベント等の行動制限が講じられました。そこで、制限が設けられた中でもより季節を感じることのできる食事サービスを取り組みましたので一部、紹介します。
コロナ禍以前のクリスマス会では、バイキング形式で実施しており、嗜好調査で希望の多いお寿司などの海鮮料理、ステーキ、揚げ物、麺類、ケーキ等、様々な料理を提供していました。しかし新型コロナの影響でクリスマス会でのバイキングは中止となった為に、献立をクリスマス仕様に変更しました。手作りのケーキにあわせて洋食にして、サラダにローストビーフを加え通常の献立より豪華に仕上げました。ケーキにはサンタを模した苺を添えてとても好評頂けました。次にクリスマスイヴの昼食にはオリーブ牛ステーキやサーモンのサラダ、夕食には骨付き鶏の献立としました。骨付き鳥は香川の名物料理で塩コショウにニンニクを効かせたスパイシーな味付けが特徴です。クリスマス時期にはお店に行列ができるほど、欠かせない一品です。クリスマスではこれまでのクリスマス会で好評であった料理を、余すことなく提供することで楽しんで頂きました。その他、行事食以外の献立の写真を載せております。香川・徳島県で有名な鰆の押し寿司やすだちそば等です。
自由に園外に外食に行けない状況下で、その時期の旬のものを楽しんでいただくために調理師との話し合いを重ね、また納品業者とも掛け合い、新メニューの導入に力を入れました。その結果、入所者より「季節を感じることができた」「彩りが良かった。また作ってほしい」など好評を得ました。さらに「次はあれが食べたい」等の意見もあり調理師からは次回の実施案の考案がでるなど、職場全体の意欲向上にも繋がりました。
感染拡大防止の為に様々な制限を受け、行事を縮小せざるを得ない状況でしたが、四季を感じ楽しんで頂くことができました。今後も入所者に喜ばれる食事サービスを園全体で取り組みたいと考えています。