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栄養士の活動

リハビリテーションを支える食事と栄養管理
 当院は、回復期リハビリテーション病棟(=回復期リハ病棟)60床を擁し、脳卒中、大腿骨近位部骨折の回復期医療を中心に診療しています。皆さんご存じの通り、今年度より回復期リハ病棟において管理栄養士の専任配置が入院料1で義務付けられ、当院でも専任を配置し栄養管理に当たっているところです。想定される栄養障害には、脳卒中後の嚥下障害、加齢による無歯顎・義歯不適合など機能的問題、高次脳機能障害による食認知・食意欲の低下など精神的問題、偏食や粗食・小食など生活背景が影響する社会的問題であり、これらが複合したなかでリハビリテーションの進捗を見極めながら日々栄養管理を行っています。
 当院の食事は、柔軟な対応できるようエネルギーを1000kcalから2600kcal/日、蛋白質比率を15から20%と幅を持たせ、嚥下調整食では、学会基準2013に準拠した物性調整を行うとともに、調理過程での加水を極力減らすなど栄養価を保つ工夫も取り入れています。また、食事量が確保できない患者には、中鎖脂肪酸オイルを積極的に活用し、栄養量の確保だけでなく食欲向上など副次効果も期待しています。
 栄養評価においては、包括診療であるため高い頻度で検査を行わないという側面もあり、入院時の栄養スクリーニング(MNAⓇ-SF;Mini Nutritional Assessment-Short Form)と口腔スクリーニング(OAG;Eilers Oral Assessment Guide)をもとに栄養状態の予後を予測し、対応レベルを変えています。また病棟サイドと連携し週1回の体重測定、下腿周囲長計測を行い、エネルギー出納を確認しています。
 今年度の診療報酬改定は、専任配置が義務化される以前より関わってきた私達にとって、一層やりがいを感じるものとなりました。患者の機能向上や気持ちを支える食事を探究し、よりよい栄養管理に努めていきたいと思います。