栄養士の活動
2016年4月1日の診療報酬改定から、難治性てんかんまたはグルコーストランスポーター1欠損症やミトコンドリア脳筋症の患者に対して提供される「てんかん食」が特別食として位置づけられ、栄養食事指導としても特別食加算の対象となってから3年が経過し、少しずつ食事療法としての認知も高まっていると感じてきています。しかしながら特殊性の高い治療食のため専門病院以外での認知は他の治療食と比べてまだまだ低く、てんかん食を提供する施設もあまり多くないことも事実であります。実際にてんかん患者の中でも、どんな食事なのかわからない方もまだまだみえることもあり、更なる普及活動を行っていくことが専門病院の栄養士としての役目と考えています。
当院の普及活動としては、全国医療機関より栄養士または医師の当院のてんかん食療法についての見学受け入れを行っております。実際に当院ではどのような食事療法を行っているのか、献立作成から調理提供はどのように行っているのかを見学していただいています。現在全国各地より(北は北海道、南は沖縄まで)見学に来ていただき、当院のノウハウを持ち帰っていただき自施設で食事療法の参考にしていただいています。もうひとつの活動としては、病院ホームページに食事療法のレシピ集「ケトン食 かんたん・おいしいレシピ集」を掲載しています。毎月1~2個のレシピ更新を目標に取り組んでいます。実際の食事療法を行う患者の自宅療養の手助けになればと栄養士全員でレシピ考案を行っています。その他、地元新聞社や日本経済新聞社からの取材依頼も積極的に受け、普及活動に努めています。
これらの普及活動だけではなく、今後は栄養士の養成施設でのてんかん食についての普及活動やてんかん食療法を行っている患者へのより手厚いサービスなども今後の課題として考えているところではあります。今後も多くの普及活動を行いさらなるてんかん食療法の普及にかかわっていければと思います。興味のある方は、一度ご連絡をいただければ幸いです。
てんかん食とは・・・薬剤治療が難治に経過し、外科的治療が難しい難治性てんかんの患者に対し、グルコースに代わりケトン体を熱量源として供給することを目的に炭水化物量の制限及び脂質量の増加が厳格に行われた治療食。他にも、グルコーストランスポーター1欠損症又はミトコンドリア脳筋症の患者に対しても、治療食として提供する場合があります。てんかん食にもケトン比といわれる指数を管理し提供するケトン食、糖質量を厳密に管理する修正アトキンス食等、てんかん食療法の内容にも様々な種類があります。