栄養士の活動
日本人の食塩摂取量は年々減少傾向ですが、H29年度の国民健康・栄養調査では男性で10.8g/日、女性で9.1g/日とまだまだ目標達成に至っていません。近年、私たちをとりまく食環境は中食や外食が増加しており、個人指導のみならず、多方面からの減塩教育・啓発が必要となっています。
欧米では食品企業による製品への減塩活動が広く繰り広げられており、外食や市販食品を減塩化することで、高血圧を基とする疾病への予防効果も確認されています1)2)。国立循環器病研究センターでは、家庭で手軽に減塩が可能となるよう“おいしい減塩食品”の普及を目指した、『かるしお認定制度』を開始し、社会全体で取り組む減塩戦略を進めています。かるしお認定制度とは、『塩を軽く使っておいしさを引き出す』という“かるしお”のコンセプトに沿った食品に対して認定マークを付与する制度です。認定基準には、波及効果の他、同質の他の食品より30%以上食塩をカットしたものなど栄養成分の基準を設け、パネルによる美味しさの評価も行っています。
2017年、当センター内に“かるしお事業推進室”が発足したことを機会に、かるしお認定商品のさらなる活用普及を目指し、より多くの企業の参加を呼びかけるため、千葉県幕張メッセで開催された「Foodex Japan2018」や、大阪府で開催された「フードストアソリューションズフェア2018」などで展示会を行ってきました。
2018年11月までに認定された食品は、33社227品目(リニューアル・サイズ違い含む)となり、調味料だけでなく、飲食店舗での定食からインスタント食品に至るまで幅広い食品となってきています。さらに、全国的なかるしお認定商品の展開を目指し推進していきたいと思います。
1)行方 史郎、成人病と生活習慣病 39巻3号 2009
2)He FJ et al, BMJ Open. 2014 Apr 14;4(4):e004549. doi: 10.1136/bmjopen-2013-004549.