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栄養士の活動

カルテ見て 患者の顔診て 臨床へ ~食物アレルギー児の健やかな成長支援を目指して~

【はじめに】
 小倉医療センターでは、平成27年度より食物アレルギー児の入院による食物経口負荷試験(以下OFC)を開始し、週に1回、医師・看護師・管理栄養士・薬剤師のチームで行っています。管理栄養士は、主治医の指示の元、OFCを実施した全ての児(保護者)に栄養指導を実施し、家庭での食生活における食物負荷方法と除去方法・不足する栄養素に対する代替食品についてなど、児の状態に合わせて保護者の方に説明することで、児の健やかな成長支援を目指しています。今回『カルテ見て 患者の顔診て 臨床へ』のテーマに合わせて、管理栄養士が説明を行った食物アレルギー児の特徴について分析を行い、児の特徴と今後の課題について検討を行いました。
 OFCを実施した患児において、アレルゲンとなりうる食品数は1歳児が12個で最多であり、1歳児2歳児において身長・体重が中央値に満たない児の割合が60%程度みられ、年齢が上がるほど減少する傾向がみられました(表1)。身長と体重において、アレルゲン食品数が多くなればなるほど、低くなる傾向がみられました(表2)。
 当院でOFCを行った児は、全員が複数のアレルギーを持っており、食事摂取に制限が生じていました。特に1歳児2歳児において、身長・体重が標準より低いものの割合が高かったことと、出生時の体重に関わらず全ての児において身長が標準より低いものの割合が高かったことから、鶏卵(たんぱく質)や小麦(炭水化物)に由来する栄養素は、他食品での代替が比較的容易ですが、乳製品に由来するカルシウムは他食品代替での充足が困難であることから、カルシウムの摂取不足が考えられました。
 食物アレルギーに対しては、「正しい診断に基づいた必要最小限の原因食品の除去」が原則です。今回の結果をうけて、アレルギー患児において、栄養指導時に必要な情報は、家庭における除去状況と代替食品の摂取状況であることに着目し、保護者を対象に事前アンケート調査(摂取状況や食事に対する相談・疑問)を開始しました。より詳細に児の問題点をピックアップし、今後も代替食品による栄養素の確保など児の健やかな成長支援に繋がるような栄養指導を行っていきたいと思います。