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国立病院栄養研究学会

栄養士の活動

当院における筋ジストロフィー患者さんと栄養士の関わり
 当院は国宝「松江城」、美しく雄大な夕景が「日本の夕日百選」に選ばれている「宍道湖」、更には良縁を願う女性を中心に人気の「八重垣神社」「玉造温泉」などを有する島根県の県都・松江市に位置し、呼吸器疾患(110床)・神経筋難病・筋ジストロフィー・重症心身障がい児(者)(計230床)の診療を中心とする病院です。
 当院の筋ジストロフィー病棟であるA病棟の入院患者さんは10~20代を中心とした若い患者さんが多いものの、病状やADL・嚥下状態などに個人差が大きいのが特徴です。また、経口による食事(1日1食以上)を提供している患者さんは15名程度と少なく、かつ嗜好や嚥下状態による個人対応を必要とする患者さんも少なくありませんが、療養生活の中でも大きな楽しみの一つとなっている「食事」の満足度をより高めるべく、栄養管理室は日々奮闘しています。

 筋ジストロフィー患者さんへの聞き取り調査は、月1回行っています。時間の都合上、毎回全ての患者さんへ実施できる訳ではありませんが、結果や新メニューのリクエストは可能な限り献立に反映させています。また、外出の機会が少ないことを踏まえ、献立には日本各地や諸外国の郷土料理・名物料理を積極的に取り入れ、少しでも外出や旅をした気分を味わって頂けるよう心掛けているほか、聞き取り調査で人気の低い状態が続いている「煮魚」の喫食量を少しでも上昇させるべく、2019年7月よりトマト味やカレー味、揚げ調理といった、過去の聞き取り調査結果より好まれる傾向にあった味付けや調理法を取り入れた煮魚の提供にも取り組んでいます。いずれも喫食量・評価とも良好であり、最近では患者さんのリクエストで「アクアパッツア」を提供し好評価を頂いたため、今後もこの取り組みは継続する予定です。

 月1回、患者さんが主体となって企画する「出前会(夕食時にテイクアウト又はデリバリーした飲食店のメニューを食べる会)」では、簡易的な栄養指導も兼ねて、出前として食べる予定の料理の栄養価や栄養バランスを考慮しながら、患者さんと共に副菜やデザートなどの献立を作成しています。

 2018年3月までは、月2回(15分程度)「食育勉強会」と題して栄養や食事に関する講義を行っていましたが、患者さんのADLや生活環境の変化に伴い中止を余儀なくされ、以後は隣接の支援学校に通学する患者さんを中心に1人1人とじっくりコミュニケーションを取る機会が減少してしまいました。しかし、この状況を改善しようと、今年度より2名の栄養士が時間外療育活動の一環として筋ジストロフィー病棟の入院患者さんで組織する電動車椅子サッカーチーム「松江コンビッグ」にボランティアとして加入させて頂きました。「松江コンビッグ」はメンバー(患者さん)の半数が高校生、最年長者も20代半ばと若いチームです。現在栄養士はチーム内でメンバーとのお話や対人練習の相手・球拾い・スコアラーなどを担いながら、まずは患者さんと積極的にコミュニケーションを取り、栄養士という立場のみならず1人の人間として患者さんとの信頼関係を築くことを目標に活動しています。その上で、将来的には、何らかの形での運動と栄養に関する教育や病棟における食育活動の再開など、栄養士としての業務や活動の幅を広げていくことへも繋げたいと考えています。


今後とも患者さんの更なる食事満足度向上を目指し、日々精進して参ります。

☆写真に関する補足説明☆ ・記事内の写真につきましては、患者さん・関係職員の許可を得て掲載しております。
・ご当地名物料理「鳥取カレー」
⇒島根県のお隣・鳥取県は一世帯あたりのカレールウ消費量が全国トップクラスの「カレー王国」です。当院は鳥取県出身の長期療養患者さんも多いため、故郷の味を楽しんでいただく機会になればとの思いで考案しました。当院では、カレールウの隠し味として鳥取県民のソウルドリンク「白バラ牛乳」を加え、全国的にも有名な「大山どり」のカツをトッピングし、付け合わせとして「鳥取砂丘らっきょう」を添えたものを「鳥取カレー」として提供しています。
・鯛のアクアパッツア
 ⇒患者さんが食べやすいよう、白ワインは控えめにし、あさりはむき身を使用しました。
・出前会
 ⇒この日は病院の近くにある牛丼チェーン「すき家」で牛丼・うな重・鶏そぼろ丼・カレーの中から患者さん各々が食べたい料理を注文しました(出前にかかる費用は患者さんが負担)。副食は、患者さんより汁物と生野菜サラダとのリクエストがあり、相談しながら使用食材を決めました。