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国立病院栄養研究学会

栄養士の活動

ソフト食見直しへの取り組み
【はじめに】
 当院は400床の慢性期病院であり、65歳以上の患者が入院患者の7~8割を占めています。また、神経筋疾患や重症心身障害児が多いのが特徴であり、刻み食やミキサー食、ソフト食などの形態調整での対応が多くの患者で必要となります。
 しかし、当院のソフト食は丸や四角の状態で提供しているため食欲を湧かせる見た目とは言い難い現状があり、食数も10食未満と非常に少なく、ニーズに答えられていない現状があるのではないかと考えた為、見た目を改善する取り組みを始めました。
 見た目の改善を行うための取り組みとして調理師と話し合い献立内容の改善、試作したものを言語聴覚士に食べてもらい確認と評価を行い、ソフト食の喫食者・介助に携わる職員にアンケートを実施しました。また、ニュートリーとフードケアに物性測定を依頼しました。
【アンケート結果】

 患者アンケートでは、量が多いと回答した人が多く、全量摂取できていないため、必要エネルギー量を満たしていないことが考えられました。そのため、粉飴を粥に混ぜ、油をおかずに加えることでカロリーアップをさせました。
 味は変更後、材料毎で固めることで水分量が増える食材もあり薄いと回答する人が増えたと考えられたため、上から味をつけるなど改善を行いました。
 見た目は、変更直後から変更4ヶ月後では調理師のマンパワー不足により変更前・変更後の形を半々で出すこととなったため、患者・職員ともに良いと回答する人が減少したと思われます。しかし、変更前と比べると良いと回答する人が増え改善の効果があったと思われます。また、変更前は主食のみしか食べていなかった患者が変更後からは副食も8~10割食べるようになった事例もあり、見た目の改善が食べる意欲にもつながったと考えられます。
 STからも、見た目が改善されたことで以前より患者にソフト食への変更を勧めることができるようになったとの声が聞かれ、食数も10食未満から15食前後へと増加しています。
【改善前と改善後】

【物性測定結果】
 物性測定の結果では、該当なしに分類された、鶏肉のソテー、野菜炒めのキャベツは、45℃の状態では基準内に入っていても、20℃では基準を上回る結果となったことから、提供後時間が経ち温度が下がると、飲み込みにくくなることが考えられました。また、各会社の目安とするゲル化剤濃度と当院の濃度に異なりも見られたことから、ゲル化剤の量の調整が必要であることが分かりました。
さらに、野菜炒めのキャベツは基準外であっても、玉ねぎは嚥下困難者用食品許可基準の3に相当し、同じ料理でも食品毎に物性が異なっていることが明らかとなり、統一させる必要があることが分かりました。
【今後の課題】
 ソフト食は同じような料理になりやすい上、調理師が1人もしくは2人しかいない状態での調理となるため、その中でも可能な献立の改善・味付けの工夫を行なっていこうと思います。
 また、粉飴や油を用いてカロリーアップを行なうことで全体量を減らしつつ栄養量を維持していき、患者の体重、栄養状態の変化の確認を行っていこうと思います。
  今回物性測定を行ったことで、1つの料理、1食の御膳で異なる物性が混在していることが分かったため、物性測定を継続して行っていくことで統一をはかり、温度変化があっても物性の変動が少ない、安全な食事が提供出来るようにしていきたいと思います。