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国立病院栄養研究学会

栄養士の活動

てんかん食ワークショップの開催とその後

 難治性てんかんの患者、またはグルコーストランスポーター1欠損症やミトコンドリア脳筋症の患者に対して提供される「てんかん食」が、診療報酬の改定により特別食として位置づけられ、栄養食事指導の対象となって一年が経過しました。この改定はてんかん食に直接携わっている当院の栄養士にとって驚きの前進でした。当院の井上院長も当初『てんかん食元年』という言葉でその大きな前進を表現しておられました。
 これをきっかけに、昨年6月12日(日)当院にて「てんかん食ワークショップ」を開催いたしました。県内施設はもとより北海道や熊本県からも参加希望があり、定員50名を超える医療従事者が集まりました。
 てんかん食の普及と質の向上、課題の検討を目的として、医師・看護師・栄養士らが症例検討や講演を通して、積極的に意見交換することが出来ました。
 その中で私たち栄養管理室が主体となり、てんかん食の調理の実演を行いました。予想をはるかに超える参加者であったため、当日はスクリーンに手元を映しての説明となりました。慣れない電磁調理器による調理でしたが、練習とイメージトレーニングのおかげで緊張せず(?)堂々とそのお手前を披露することができました。
 昼食は、“少しでも、てんかん食を食べる患者様の気持ちを理解できるように・・・”との想いから「糖質制限食」のお弁当とし、更に調理実習に参加された方には600kcal・ケトン比3:1のケトン食の試食もしていただきました。高脂肪・低糖質で長期継続が難しいとの概念が強いてんかん食ですが、試食された方の多くは“普通においしい”“工夫次第で無理なく食べられる”等の好印象を持たれたようです。それらの言葉で自分たちの疲れも吹き飛んだ気がしました。
 この診療報酬改定およびワークショップ開催以降、各地施設からのてんかん食に関する問い合わせや施設見学の依頼等も徐々に増え、随時先方の要望に合わせた内容で対応させていただいているところです。また当院ホームページに「ケトン食かんたん・おいしいレシピ集」というブログを掲載していることもあり、地元新聞社や日本経済新聞社からの取材依頼も数件受けました。
 とは言え、てんかんに罹患されている方は全国で100人に1人いるとも言われるのに対し、てんかん食を実施している施設は決して多くなく、特殊ミルク(ケトンフォーミュラ(明治))の問題等課題も多々ありますが、今後より多くの人に興味を持ってもらい一人でも多くの方が「てんかん食食事療法」を治療の選択肢のひとつとして検討していただければ・・・と感じました。