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国立病院栄養研究学会

栄養士の活動

熊本地震後の食事対応について
 平成28年4月14日~16日、熊本は度重なる大地震にみまわれました(表1)。当院でも16日の本震により多大な被害がでました。今回、熊本地震(16日本震)後における当院の食事対応について紹介します。
 栄養管理室では、幸いにも地震による厨房への影響はなかったものの、食材流通の停止に加え、水、熱源(ガス、ボイラー)が断たれ、多くの機器類が使用できなくなってしまいました(表2)。また、調理師も被災し、一時出勤できない職員もいました。
 16日の本震(午前1時25分)後、午前3時までには管理栄養士2名と調理師3名が出勤。5時間後に迫った朝食をどうすべきか判断をせまられました。全く復旧の目途の立たない流通やライフライン、そして更なる地震と停電の可能性も考え、非常食はできる限り温存し、在庫の食材とあらかじめ調理釜にためておいた水を優先して使用するよう献立作成にとりかかりました。さらに、食事提供に必要な支援については、院内災害対策本部を通し、他部署に協力を依頼しました。
 院内の職員やその家族によるカセットコンロや炊飯器、湧水の提供、配膳作業への応援、一部の食材流通の再開も加わり、結果的に本震後3日間、非常食(水以外)を温存したまま食事を提供することができました。
 ライフラインの完全復旧まで5日、通常献立に戻るまで8日間かかりました。その間、給与栄養量が十分でない期間もありましたが(グラフ1)、1食も止める事なく食事を提供できたのは他部署や国立病院機構および全国国立病院管理栄養士協議会のネットワークを通して多くの施設からの支援(非常食・ディスポ食器等)があってこそだと実感しました(表3)。
 今改めて振り返り、あの時、患者様に管理栄養士として最善の対応をとることができたのか疑問が残っています。この経験を生かし「まさか」の事態に対し、栄養管理室職員全員が動けるよう具体的な手順を定めた状況別対応マニュアルを作成し、定期的な訓練を行うこととしました。
 私たちは大災害を経験しました。栄養管理室職員一同、責任感を持ち、患者様の栄養管理・食生活を守るため努力すると共に、この経験が少しでも参考になるのであれば多くの施設と情報を共有したいと思います。


表1 熊本で震度6以上を観測した地震

表2 食材調達および調理機器等の使用状況


グラフ1 地震前後における常食の給与栄養量 (エネルギー・たんぱく質)

表3 栄養管理室の対応と他部署・他施設および公的機関による支援内容